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混迷の時代の叡智-フィレンツェ・ルネサンスに学ぶ (2)

混迷の時代の叡智-フィレンツェ・ルネサンスに学ぶ (2)

講演 「哲学からみたルネサンス」

imamichi

今道友信 東京大学名誉教授

※以下の記述内容は、当日会場において配布された、今道教授のレジュメの内容を抜粋転載したものです。レジュメの内容はPDF形式ファイルとしてもご覧いただけます。

今道友信 会場配布レジュメ (PDF形式ファイル 515KB)

前編


(再生時間 20分41秒)

1.ルネサンス(renaissance←rinascimente 再生、復活)

一般にこの語を文芸復興と訳し、主としてLeonardo da Vinci (1452-1519)、Michelangelo Buonarroti (1475-1564)、Raffaello Santi (1483-1520)の三人の大芸術家を想起し、その作品がギリシア・古典古代のように自由闊達であるため、ルネサンスという語で主として十五・六世紀のイタリアの文芸復興を表象する。

2.その一般的見解が全く誤っているいるとは言えない。それは後期ルネサンスの代表的人物であって美術の大家だからである。しかしその人びとの200年以上300年くらい以前から、古典文化の活気ある復興が「十二世紀ルネサンス」としてEtienne Gilson や Charles H. Haskinsたちによって、すでに1920年代から言われていた。十二世紀ルネサンスは上述の周知の十四・五世紀のイタリアルネサンスよりも知的な性格においてはより重要であると考えられる。

3.中世が暗黒時代と言われるのが常識であるが、それにどう答えるか。このような問いが今だに発せられるのは十字軍のような愚挙や魔女裁判のような野蛮な事件のみに注目するからなのであり、ブルーノの火刑のごときは十六世紀末の近世の出来事であり必ずしも中世だけのことではない。

4.三つの源泉

十二世紀ルネサンスの再生源泉
1.トレド周辺(スペイン)
アラビア文献(アラビア語翻訳学校)

2.シチリア(南イタリア)
878年以降イスラム化(ギリシア語、ラテン語、アラビア語が公用語)

3.ヴェネツィア、ピサ(北イタリア)
文化人の交流(ギリシア語のラテン訳)

後編


(再生時間 23分00秒)

5.文献による研究

ⅰ)十二世紀ルネサンス
Abaelarelus: Sic et non (判断弁証法の方法的発見)
教父たちの学説から論議を呼ぶ命題を158選び、それに対立命題を集成し新しい解決をする。問題提出、肯定論証・否定論証・彼自らの解決・前掲諸論証の批判ないし反論で結ぶ。主にアリストテレスのトピカ第八巻の弁証論を使う。トマスの神学大全の体系を先駆けている。

ⅱ)十四世紀イタリアルネサンス
Dante(1266-1321) 天国の霊魂の義務

O milizia del ciel cu’ io contemplo,
adora per color che sono in terra
tutti sviati dietro al malo essemplo!
(Par.XVIII.124-126)

ああ天上なるわが見る勇士!
悪例によって道をはずれた
地上の人らの為いのりませ。

そして嵐を待つ(革命を待つ)

le poppe volgera u’ son le prore
艫(とも)をば舳の方にめぐらせ
(Par.XXVII.145-148)

Petrarca (1304-1374)
Ventoux山登山の記 セポルクロ神父あて書簡

ⅲ)十五世紀イタリアルネサンス

Ficino (1433-1499)  人間の尊厳と悲惨
孤独な生活の有益なこと  神は不変なる一にして唯一の静である。

Pico della Mirandola (1463-1494) 人間の尊厳について

ⅳ)Varia
G. Groote (1340-1380)
Nicolaus Cusanus (1401-1464)
Pietro Ponponazzi (1462-1525)
Rabelais (1494-1553)
Paracelsus (1493-1541)

6.結び

コンテンツ名 ダンテフォーラム2008 「混迷の時代の叡智―フィレンツェ・ルネサンスに学ぶ」
収録日 2008年3月15日
講師 今道友信

会場:イタリア文化会館
主催:財団法人エンゼル財団・イタリア文化会館・日本経済新聞社
収録映像:著作権者 財団法人エンゼル財団
本コンテンツでは、2008年3月15日、イタリア文化会館で開催されたダンテフォーラム2008「混迷の時代の叡智―フィレンツェ・ルネサンスに学ぶ」(約3時間半)の模様を配信しています。

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