生徒たちの発表

制服とは何か

3年生 ⾼橋希穂さん

制服について探究した⾼橋さんは、先⽣の講評をもとにテーマを絞り込み、写真やグラフなどを使って発表結果を視覚的にまとめました。

中間発表

最初は制服を取り巻く校則全般を調べようと考えていた!

学校は私服通学なのに、「カチッとしてかっこいい」と私服として制服も着⽤していた⾼橋さん。前期の北村先⽣の授業で、途上国では貧富の差を隠すために制服を着ている場合もあるという話を聞き、制服などを定める校則について、⽬標や意義を調べてみようと探究テーマを「校則と⾃由」に決定。

⼩⽟先⽣講評
「校則というテーマはかなり広いのでもう少し絞り込んだ⽅がいい。東⼤附属も昔は制服があったので、以前との変化などを調べてみるのも⾯⽩いのでは?」
北村先⽣講評
「調査の質問を考えるときに、例えば制服の機能についても⾊々ある。デザイン、値段、学校区分など、どのテーマで掘り下げるかも考えてみることが⼤事」

最終発表

制服の歴史を掘り下げ、校内外の⽣徒に制服に対する意識調査も実施!

先⽣の講評も受け、⾼橋さんは⽇本の制服の歴史を明治時代まで遡って調べ、その由来や⽬的を探究することに。さらに、附属校と蒲⽥⾼校の⽣徒約100名に制服に対する意識調査も⾏った結果、制服に不満を持つ⽣徒は少なく、多くは「学⽣」の象徴として受け⼊れているとわかりました。また、歴史についても詰襟は軍服由来で、かつては階級意識の象徴でもあったなど新しい発⾒が多数あり、ますます調べてみたくなったそうです。

発表を終えた感想

北村先生から制服には貧富を隠す面もあると聞き興味を持ちました。調べてみると制服には多くの社会的役割や歴史があることが見えてきました。アンケート作成は苦労しましたが、人に伝わる文章の書き方も学ぶことができたと思います。

道徳科は必要なのか

3年生 ⼟⼭舞桜さん

⼟⼭さんは道徳科のあり⽅について探究。資料を調べ、学内の⽣徒や先⽣にインタビューを重ねる中で、⾃らの考察を深めていきました。

中間発表

道徳の授業にも評価がつくようになったと聞き、その評価基準や⽬的を調べてみた。

当初は教科の評価について調べようと考えていた⼟⼭さん。その中で、道徳の評価がつくようになったのは最近だと知り、それなのに道徳の授業の頻度が少なかったり、あまり教科書を使わないのはなぜだろうと疑問を持ちました。そこで調べる教科を道徳に絞り、その評価基準や指導の⽬的などを調べることにしました。

⼩⽟先⽣講評
「道徳は昔は教科ではなかったといった歴史に着⽬するのか、現代の社会との関連性から調べるのかも考えて進めてみては」
北村先⽣講評
「道徳のように答えのない問いに対しては、設問を設定した構造化インタビューの結果を集計するより、そこで得た回答をより深掘りする⽅が有効かも知れません」

最終発表

道徳は「理解」させるより、「⾏動を変える」ことが⼤事。

調べていくうち、道徳の持つ哲学のような⼀つの答えがない問いにぶつかって悩みます。しかし、⽩⿊つきにくい問いは無理に集計せず、そこから考察を深めることも重要だという講義を思い出し、学内の⽣徒や先⽣にインタビューを⾏い考察を重ねていきました。そこで、道徳の授業は議論して結論を出すことより、⾃らの⾏動を変えていくことに意義があるという考えに到達。それができるなら道徳科は必要だと考えました。今後は⼩学校の道徳についても調べてみたいそうです。

野澤先⽣講評
「⼟⼭さんの問いかけには⾮常に切実なものを感じます。道徳の授業が少なくなってしまうのは、今の教育現場や道徳の授業ではみんなでそうした対話をすることが難しくなっているのかも知れません。拙速に答えを求めず、じっくりと考えてみてほしい」

発表を終えた感想

道徳の授業は事例について考えさせる授業が多いようですが、私は⾏動を変えるような授業でなければ意味がないと感じました。インタビュー調査では多様な意⾒を聞けて楽しかったです。機会があれば⼩学校の道徳授業も調べてみたいです。

『数学A PROGRESS』P118-119を考える

4年⽣ 忍⽥仁さん

教師になりたいという忍⽥さんは、教科書の記述のしかたの改善について、問題を解く思考過程を⾒る実験を通して考察しました。

中間発表

教科書のあり⽅、教え⽅に問題意識を持っていた。

将来は数学の先⽣になりたいという忍⽥さん。教育に⽋かせない教科書について興味を持ち、「教科書で教える」「教科書を教える」という2つの考え⽅は何が違うのか興味を持ちました。そして、授業で習った⼆進法に関する問題を作りその答えを導くプロセスを書き出すことで、教科書の問題点や、それを使って教える⼿法について具体的に考えてみることにしました。

⼩⽟先⽣講評
「『教科書を…』『教科書で…』に当てはまらない教え⽅もあるのでは?」
北村先⽣講評
「思考過程を各⾃に書いてもらうのは難しい。⾯接調査にして⽬の前で解きながら説明してもらうといいと思う」

最終発表

数学の問題解く思考過程を⾒るなど、教育に客観的な視点が持てた

初めて調べた先⾏研究は、どれも⾔葉が難しく、また数学の問題を考えるにあたって⾃分がやりたい⼿法の参考になるものは⾒つからず、どんな設問でどういう質問をするか、ゼロから考えることに。思考過程を⾒るには⾯接調査がいいという指摘を受けて、⼆進法に関する設問シートを使ったインタビューを実施し、結果として教科書の記述の問題点や改善点を⾃分なりに導き出すことができました。機会があれば、同じ⼿法で図形やパズルなどの解き⽅についても調べてみたいと考えているそうです。

発表を終えた感想

数学の教科書を使って、⼆進法の教え⽅の改善を考えました。⾃作のプリントを解いてもらって⼈の思考過程を⾒る実験は⾯⽩かったです。将来は教師になりたいので、教育を客観的に考える視点を持つことができたのは良い経験になりました。