源氏物語全講会 | 岡野弘彦

第187回 特別講義 伊勢神宮のご遷宮 ― 遷御の儀に参列して

伊勢神宮のご遷宮の話題から始まり、折口信夫と柳田国男との旅に同行した時のことに触れ、遷御の儀御列を拝した際の歌のスケッチを紹介する。後半は釈迢空の歌を解説する。

講師:岡野弘彦
講師:岡野弘彦

伊勢神宮のご遷宮

・平成五年の前回のご遷宮は内宮の一番奥で篝火を焚く役目を努めたが、今回は、外宮で遷御の御列を拝した。

・折口信夫の源氏論

戦後発表された「源氏物語を知らぬ人々に寄す」

・折口信夫と柳田国男との旅に同行した時に、柳田が岡野弘彦に語ったこと

江戸時代の武士たちは、一生に一度あるかないかわからない、自分の身の潔白を、身を以て示さなければならない時がある。それは切腹という形で示されるが、腹を切っただけでは無駄死。辞世の和歌に自分の心の誠をこめる。その時のために、和歌を詠む心構えを磨いていた。

・日本人の宗教

折口信夫は、日本民族は特有の宗教を持つことがなかった、それが心の欠落になっていないか、と考えていた。

・遷御の儀の御列を拝して

聖なる静寂(しじま)の中で思った自歌

あまりにもしづけき神ぞ血ぬられし手もて贖ふすべををしえよ

戦の敗れしのちを零落れきてこの白砂になみだ落としき

歌の形でメモをした和歌の紹介

釈迢空

・『短歌』の創刊前夜のこと

・「歌の円寂する時」の中の歌の滅びる三つの理由(短歌滅亡論)

1.自立した批評家がいなかった

2.歌人たちの人間ができていない

3.歌そのものに定まった寿命がある。

・釈迢空(しゃく ちょうくう)の好きなのは高市黒人。

釈迢空の歌から

山のうへに、かそけく人は住みにけり。道くだり来る心はなごめり

人も馬も道行きつかれ死ににけり。旅寝かさなるほどのかそけさ

なき人の今日は、七日になりぬらむ。遇ふ人もあふ人もみな旅びと

「ほうとする話」

http://www.aozora.gr.jp/cards/000933/files/13213_14433.html

コンテンツ名 源氏物語全講会 第187回 特別講義 伊勢神宮のご遷宮 ― 遷御の儀に参列して
収録日 2013年10月12日
講師 岡野弘彦(國學院大學名誉教授)

平成25年春期講座

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