京都とフィレンツェの対話 第一部 芸術都市の背景にあったもの(樺山紘一)

京都とフィレンツェの対話 第一部 芸術都市の背景にあったもの(樺山紘一)

第1部 フィレンツェの魅力、京都の魅力

芸術都市の背景にあったもの

樺山 紘一 東京大学名誉教授


(再生時間 31分52秒)

・15世紀老コジモに始まり、16世紀にはトスカーナ大公国の君主として君臨したメディチ家と、フィレンツェ・ルネサンス文化との関係

1.書物(写本)の蒐集に熱心だったメディチ家

「…それらの多くはヨーロッパ各地で制作された写本でしたが、その他に東方のコンスタンチノーブルから来たギリシャ語やヘブライ語の古典に関する写本が数多く含まれていました。オスマン帝国の侵略により、ビザンチン帝国、東ローマ帝国が崩壊し、そこに蓄積されていた多くの写本がイタリアに流入したのです。メディチ家はこれらを入手し、蓄積し、多くの学者達に研究させ読み解かせました。
ギリシャ語は当時ヨーロッパでは永く途絶えていたため読み解くことが非常に困難でありましたが、長年にわたり研究した結果、当時のヨーロッパでは見聞きすることがなかった新たな哲学があることがわかってきました。プラトンの哲学です。」

・マルシリオ・フィチーノによるプラトンの翻訳
・ミケランジェロも影響を受けた、新プラトン哲学(ネオプラトニズム)
・古典研究への取組みが、ルネサンス文化に厚みと深みを与えた

2.イタリアルネサンスで花開いた数多くの文化、文化財が今もほぼ完全な形で残り、我々を魅了し続けているのは何故か?

・16世紀半ば、文化財保存の出発点を作ったメディチ家のコジモ一世
・ルネサンスの演出家として抜群の力量を示したヴァザーリ

3.同時代の日本 東山文化の創成に大きな役割を果たした足利義政

・鎌倉幕府以来の文化財、芸術作品が蓄積
・室町幕府8代将軍足利義政が残した「東山御物(ごもつ)」
・応仁の乱と東山文化

コンテンツ名 ダンテフォーラム in 京都「芸術文化都市の戦略―フィレンツェの魅力・京都の魅力」
収録日 2005年2月13日
講師 樺山紘一
簡易プロフィール

講師:樺山紘一

(東京大学名誉教授)

肩書などはコンテンツ収録時のものです

会場:京都造形芸術大学
主催:財団法人エンゼル財団・京都造形芸術大学・日本経済新聞社
収録映像:著作権者 財団法人エンゼル財団
本コンテンツでは、2005年、京都造形芸術大学で開催された2つのシンポジウムの模様を配信しています。

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