おやつ文化の未来
いま、先行きのわからない時代だからこそ、ひとの心を和ませ、人と人を結びつける「おやつ」の働きへの期待が高まっているように思います。
もりおか歴史文化館で開催された特別展「お菓子で笑顔に」。この講演は特別展の開催にあわせて「おやつ文化の未来」と題し、社会学者の天野正子先生にお話いただきました。おやつに焦点をあてると見えてくる、子どもたちの豊かな世界。そして江戸時代以降のおやつ文化の変遷をたどりながら、これからの時代にも欠かせない、おやつの意味と働きについて考えます。
内容
- 「おやつ」が映す子どもの世界
- おやつの由来
- お菓子文化の歴史
- 変わる子ども観→間食からおやつへ
- 海外のおやつ文化
- おやつの意義
- 駄菓子屋の誕生
- 小遣いをめぐる光と影
- 「駄」の世界の引力
- 西洋菓子の夜明け→「企業」化
- 子どもをつかんだ森永ミルクキャラメル
- グリコとオマケ(※)
- グリコにつづけ!
- 子どもを分けるお菓子
- 甘味に飢えていた戦中・戦後
- 駄菓子屋・紙芝居・団塊世代
- おやつの大衆化/平準化
- おやつのフリースタイル化
- おやつ文化は未だ終わらない!
- おわりに:おやつ文化よ、永遠に
補足
※本講演について、江崎グリコ株式会社のご協力により、解説内容の補足をいたします。
- 江崎グリコ株式会社では「オマケ」ではなく「おもちゃ、豆玩具」と呼んでいます。
- 講演のなかで、オマケを考案したのは宮本順三とされていますが、実際には考案したのは創業者の江崎利一です。
- 「ニニンガシをニニンガゴに」
「2×2=4では当たり前。さらに人一倍の努力と工夫をすれば2×2=5にも6 にもなるという考え方」。 ニニンガシをニニンガゴに、は江崎グリコのマーケ ティング活動全体の考え方です。 おもちゃをつけるのは、子どもの二大天職は「遊ぶことと食べること」と考え、 子どもの知識と情操を育みたいと思ったからです。 - スポーツなどのミニカード
絵カードをつけているのは発売当初からです。
使用図版 および使用図版(登場順)
- ミルクキャラメルのポスター 森永製菓株式会社
- 天野正子/石谷二郎/木村涼 著 『モノと子どもの戦後史』吉川弘文館
- 江戸名物 米饅頭売り『用捨箱』より (財)味の素 食の文化センター所蔵
- 「餅菓子即席手製集」東京家政学院大学大江文庫
- 「日本山海名物図絵」東京家政学院大学大江文庫
- 「牛店雑談安愚楽鍋」東京家政学院大学大江文庫
- ミルクキャラメル広告、ドロップスのパッケージ、森永ビスケットのポスター、軍用乾パンの製造風景、キャラメルのポスター 森永製菓株式会社
- キャラメルのパッケージとおもちゃ 江崎グリコ株式会社
- 戦後の駄菓子屋 二村高史氏撮影 二村高史氏ホームページはこちら
- 草壁孝治/桑田美代子「豊かな生活の創造~老人病院の取り組み~」 (『vesta』 no.56/2004 (財) 味の素 食の文化センター)
参考文献
- 青木直己2004「おやつの由来」『vesta』no.56
- 青木正美1990『昭和のこども 遊びと暮らし』本邦書籍
- 天野正子・石谷二郎・木村涼子2007『モノと子どもの戦後史』吉川弘文館
- 石橋幸作1967 『駄菓子のふるさと』未来社
- 泉麻人1991『おやつストーリー』講談社
- 江成常夫1990「“戦争花嫁”のアメリカ」安田常雄・天野正子編『戦後体験の発掘』三省堂
- 江原絢子・東四柳祥子 2011『日本の食文化史年表』吉川弘文館
- 大島政男1983『大正も遠く』日本社
- おやつカンパニー2010『創立60周年記念誌』
- 加藤理1996『<めんこ>の文化史』久山社
- 加藤理2000『駄菓子屋・読み物と子どもの近代』青弓社
- 草壁孝治・桑田美代子2004「豊かな生活の創造~老人病院の取り組み~」『vesta』no.56
- 暮しの手帖社1968『暮しの手帖社 96』
- 桑原武夫1971『思い出すこと忘れえぬ人』文藝春秋
- 斉藤次郎1972「子どもは本当に存在するのか」『思想の科学』12月号 思想の科学社
- 沢村貞子1976『私の浅草』暮しの手帖社
- 綱島理友1995『お菓子帖』朝日新聞社
- 角山栄2012「亡き妻がくれたご近所というつながり」『中央公論』7月号
- 鶴見俊輔1991「暮らしのなかのアマルガム」『思想の科学』12月号 思想の科学社
- 寺村紘二1990『浅草の小学生:「子供大正世相誌』下町タイムス
- 広田寿子1996『女三代の百年』岩波書店
- 深谷昌志1996『子どもの生活史』黎明書房
- 藤沢恒夫1974『大阪自叙伝』朝日新聞社
- 藤本浩之輔1986『聞き書き明治の子ども遊びと暮らし』SSB出版会
- 松田道雄『駄菓子屋楽校』新評論
- 宮本順三1991『ぼくは豆玩』いんてる社
- 森永製菓株式会社200『森永製菓100年史』
コンテンツ名 | もりおか歴史文化館 特別展 お菓子で笑顔に ~森永製菓の企業資料から~ 特別講演「おやつ文化の未来」 |
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収録日 | 2012年7月29日 |
講師 | 天野正子 |
簡易プロフィール | 講師:天野正子(東京家政学院大学学長) 東京教育大学(現・筑波大学)大学院文学研究科修了。千葉大学文学部、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科の各教授を経て、東京女学館大学副学長・学長。2009年4月より、東京家政学院大学学長。 肩書などはコンテンツ収録時のものです |
場所: もりおか歴史文化館 |
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