エンゼル音楽ラボ 「クラシックを学ぶ実験室!?」【講師:スギテツ】
第2回:クラシック音楽ってなに?
ロマン派〜近現代音楽
ロマン派時代(前期)
さて、次はいよいよクラシックの黄金期とも言えるこの時代。ネーミング的に「ロマンティックな音楽」を想像されるかもしれないけれど、こちらは18〜19世紀にヨーロッパで起こった精神運動の概念のひとつである「ロマン主義」の時代と合致することから、その言葉がそのまま流用された名称なのです。
このころアメリカで南北戦争(1861年〜1865年)が勃発。奴隷制存続を主張する南部11州が合衆国を脱退し、アメリカ連合国を結成。合衆国にとどまったその他の北部23州との間で戦争となりました。
日本では、葛飾北斎、歌川国貞、歌川広重らによる浮世絵が大人気となっていました。ほかには、ペリーが浦賀に来航(1853年)、1868年には明治維新が始まり、1894年には日清戦争が勃発した激動の時代です。
古典派に影響されて、たくさんの作曲家、そして名曲を生み出した時代なのだけど、まずその前期と言われる時代から紹介していきましょう。
この時代からは、後世に名を残す作曲家が数多く出てきましたが、その中からロマン派前期を代表する3人の作曲家の作品をを紹介してみよう!
他にも、シューマン、メンデルスゾーン、そしてピアノの魔術師・リストなど、個性的な作曲家をたくさん輩出している時代。19世紀後半のロマン派後期となると、さらにその幅は広がっていくことになるんだ。
さらにロマン派後期のほかの作曲家もご紹介しましょう。
ロマン派時代(後期)
後期になると、ドイツやオーストリア、イタリアといった国々以外からも、数多くの作曲家が生まれてきたんだ。
この時代を代表する、3名の作曲家それぞれの楽曲を聴いてみよう!
このようにロマン派後期は、他にも、オーケストラが大編成化していったワーグナー、ワルツの王様・ヨハンシュトラウス、チャイコフスキーやドヴォルザークと同じく「国民楽派」に属するムソルグスキーやスメタナなどなど、数え切れないほどの作曲家を輩出した時代でもあったんだ。
ロマン派時代は、まさにクラシックの黄金期。数多くの名曲が生まれたということは、それを享受できる人が増えたということでもあるよね。
ピアノの普及などに伴い、一般家庭で身近に音楽が楽しめるようになってきて、家族や仲間と音楽会が開かれたり、聴くだけでなく演奏して楽しむ時代になってきたんだ。
スギテツ的ひとことまとめ
さあ、そんな時代をひとことで表現するとこんな時代。
クラシックの”リア充”化!
覚えましたか?これも絶対テストには出ません。
近現代音楽
時代がさらに進み、20世紀に近づいてくると、この時代のクラシック音楽は「ロマン派末期」とされる場合もありますが、一般的には「近現代音楽」というようなくくり方をされています。
時代でいうと、20世紀初頭〜第二次世界大戦の終わり頃(1945年)までとなります。これまでの時代と比べると、かなり「最近」という感じがしてきますね。アメリカでは1920年代に「ジャズ・エイジ」、フランスでは「狂乱の時代」と呼ばれる文化の隆盛が訪れます。
いっぽう、日本では1926年に年号が「昭和」となり、その後、太平洋戦争(1941年〜1945年)へと突入していきます。
この時代はかなりたくさんの音楽が生まれてきた時代なので、全ては紹介しきれません。しかし、このなかでも、「印象派」と呼ばれるフランスの作曲家は、転調、半音階、不協和音など、現代に通じるさまざまな音楽的な技法を用いて、洗練された音楽を生み出しました。
それでは実際に聴いてみよう!
「印象主義音楽」と言われる新しい潮流からドビュッシーとラヴェル、アメリカからガーシュウィンを紹介しましたが、この時代にもまだまだたくさんの作曲家がいます。
多くの歌劇を残したプッチーニ、複雑な拍子や音階を駆使し「現代音楽」の源流となったストラビンスキーやバルトークなどなど……。
特殊な奏法として、ピアノの弦を弾いたり、あの「ジュピター」で有名になったホルストの組曲「惑星」では、ヴァイオリンの弓の毛ではなく木の方で弾く「コル・レーニョ」なんていう演奏法が使われたりもしています。
スギテツ的ひとことまとめ
いよいよ混沌としてきたこの時代。
近現代は現在進行系ではあるけれど、強引に今時の言葉でまとめてみよう。
ニューノーマル
〜新しい音楽様式〜
ちょっと無理矢理だったかな……?
スギテツ的音楽トリビア
ニコチン中毒続出!?
タバコというとジャズやロックのイメージですが、この時代は愛煙家の作曲家が多かったようです。ドビュッシー、ラヴェル、肺結核で亡くなったストラビンスキー etc……。
プッチーニに至っては、お金に困ると教会のオルガンのパイプをこっそりと外し、それを売り払ってタバコ銭を作ったとか。
演奏封鎖!?
アメリカの作曲家、ジョン・ケージの「四分三十三秒」という曲は、ステージに登場した演奏者が4分33秒間、一音も発しないという斬新な作品。
その4分33秒間に聴こえてくる周囲の音が音楽ということになっているらしく、時間と題名もその都度変更してもよいとか。
2020年10月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う制限措置により演奏ができなくなったベルリンフィルが、その直前にこの曲を演奏したことも話題になりました。
とまあ、ざっとクラシックの歴史を紐解いてきましたが、これはほんの一握りです。クラシック音楽の歴史には、まだまだ興味深いお話がたくさん散りばめられています。
とりあえず、クラシック音楽がさまざまな変遷を遂げて、今に至っていることがわかってもらえたでしょうか?
以上、「ロマン派〜近現代音楽編」でした!
コンテンツ名 | エンゼル音楽ラボ シリーズ1「クラシックを学ぶ実験室!?」 第2回:クラシック音楽ってなに? ロマン派〜近現代音楽 |
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収録日 | 2020年10月20日 |
講師 | スギテツ(杉浦哲郎、岡田鉄平) |
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