第2回「日本独自の惣菜パン ~進化と地域色~」

エンゼル食ラボ パン編

第2回「日本独自の惣菜パン ~進化と地域色~」

日本において独自の発展を遂げてきた惣菜パン。
定番の惣菜パンや一部地域で愛されるご当地パンなどを通して
日本の豊かな食文化を学んでいきます。

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Q、カレーパンはやっぱりインド発祥?

圧倒的人気の惣菜パン

実は、カレーパンは日本発祥。
1927年 江東区『名花堂(現カトレア)』がカレーパンの元祖とされています。
インドの代表的な料理であるカレーを日本風にアレンジ、
さらにパンに包んで揚げるという発想は独特。
カレーパンの誕生こそが、日本独自のパン文化を育むきっかけとなりました。

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現在でも、パン屋さんに「人気ナンバーワンのパン」を聞いてみると「カレーパン」と答えるお店が圧倒的に多いです。
カレーパンはそれだけ日本人にとって馴染み深い惣菜パンです。
 
最近では周りにクルトンをつけて揚げたものやキューブ型、ヴィーガンなど、進化系のカレーパンが続々と誕生しています。
 
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Q、焼きそばパンはどうやって生まれた?

炭水化物×炭水化物という独自の発想

焼きそばパンの元祖については諸説ありますがパンに焼きそばを挟む、というアイデアを思いついたのは東京都荒川区南千住にあった『野澤屋』というパン屋が最初ではないかと言われています。
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一説によると、昭和27年 野澤屋で別々に販売していたコッペパンと焼きそばをお客さまが「面倒だからパンに挟んで」とリクエストしたところから
焼きそばパンが生まれたそうです。
 
炭水化物と炭水化物を組み合わせるのは日本の惣菜パンならではのユニークな点。焼きそばパンの他にも「ナポリタンドック」「明太パスタサンド」「イカスミパスタパン」なども存在します。
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Q、コロッケパンの発祥はどこ?

海外の食文化を柔軟に取り入れる

東銀座の『チョウシ屋』がコロッケパン発祥と言われています。
昭和20年代半ばに、お客さまがパンを持ってきて「これにコロッケを挟んでよ」と頼んだのがきっかけ。
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ちなみに、コロッケの原型は、元々フランス料理であるクロケット。
日本の惣菜パンは、異国の食文化を柔軟に取り入れ日本独自のパン文化として発展させています。

 

Q、人気のご当地パンは?

地域色豊かなパン

日本の中でも地域に根付いた地方色豊かなご当地パンが数多く存在します。
その中でも、特に人気のご当地パンを紹介します。
 
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ネギパン(熊本)
県の特産品のひとつであるネギを使ったパン。
『高岡製パン』によって、ネギ嫌いの学生のためにつくられたのが始まりだそうです。
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昆布パン(富山)
元々昆布のとれない富山では「北前船」(江戸時代の流通を支えた海上交通)によって北海道産の昆布を食べる文化が普及しました。
昆布消費量日本一を誇る富山の県民性が生んだ総菜パンです。
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ちくわパン(北海道)
パンの中にツナサラダを詰めた“ちくわ”を包んでおり札幌市にある『どんぐり』というパン屋さんが考案したのが始まりです。
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サラダパン(滋賀)
1951年創業の『つるやパン』が考案。
マヨネーズで和えた刻みたくあんが挟まれています。
ウインナーや焼きサバを挟んで食べるアレンジレシピも人気です。
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ポテチパン(横須賀)
神奈川県、横須賀で愛される菓子パン。発祥は『中井パン店』。
ポテトチップスのかけらをキャベツやマヨネーズ、からしとあえてパンに挟む、というのがベースですが、店によって具材や味付けに工夫をしているので、食べ比べも楽しめます。
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ご当地パンは地元の人によって愛されてきたパンですが最近ではテレビ、雑誌、SNSなどで広く知れ渡り観光客からも人気を得ています。
 
日本独自の発展を遂げた惣菜パン。今ではドバイで焼きそばパンが人気を得るなど、海外にも進出しています。
今後もどんな発展を遂げるのかが楽しみですね。

 

Q、美味しいパンに出会うためには?

大切なのは「時間」

今回の講師 片山智香子さんに美味しいパンに出会うための秘訣を聞きました。

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片山さんは「美味しいパンの時間がある」と語ります。
一般的なイメージでは朝一でパン屋さんに行けば、美味しいパンが食べられると思いがちです。
しかし、片山さんはお昼の少し前(11:00〜12:00)に行くことをオススメしています。
 
その理由は、昼前に全てのパンが焼きあがるから。
朝一で行くと、まだ焼けていないパンもあるとのこと。
美味しいパンに出会うために昼前の時間を狙って、パン屋さんを訪れてみてください。
 
パン屋さん巡りに明け暮れる片山さんでもいまだに数か月に一度は、今までの概念を覆されるパンに出会うことがあるそう。
だからパン屋さん巡りはやめられないとのこと。
みなさんもぜひ、パンとの出会いを楽しんでみてはいかがですか?

コンテンツ名 エンゼル食ラボ パン編 第2回「日本独自の惣菜パン ~進化と地域色~」
収録日 2023年2月25日
講師 片山智香子 パン料理研究家/旅するパンマニア/ユーチューバー
簡易プロフィール

片山智香子 パン料理研究家/旅するパンマニア/ユーチューバー
全国のパンを紹介する「パン屋さんめぐりの会」主宰
メディアに多数出演 著書「愛しのパン」
毎週3軒のパン屋めぐり「パン旅」を動画にアップ
リサーチ・構成・撮影・編集 すべて一人で行っている

肩書などはコンテンツ収録時のものです

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