本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 私にとっての『古事記』
【セッション1】私にとっての『古事記』
シンポジウム
岡野弘彦 國學院大学名誉教授
渡部昇一 上智大学名誉教授
コーディネーター
松田義幸 実践女子大学教授・エンゼル財団理事
- 敗戦を経て、『古事記』の読み直しを志す
- 歴史における「事実」と「現実」の違いについて
- 日本人の精神世界と海とのかかわり
1.敗戦を経て、『古事記』の読み直しを志す
(再生時間 7分29秒)
- 折口信夫の詩 「神 やぶれたまふ」
神こゝに 敗れたまひぬ-。
すさのをも おほくにぬしも
青垣の内つ御庭の
宮出でゝ さすらひたまふ-。
くそ 嘔吐 ゆまり流れて
蛆 蠅の、 集り 群起つ
直土に-人は臥い伏し
青人草 すべて色なし-。
村も 野も 山も 一色-
ひたすらに青みわたれど
たゞ虚し。青の一色
海 空もおなじ 青いろ-。
稗草の穂に出るものは
穂に出でぬ間を 爬み枯し
白き乳の垂るものとては、
若葉すら 子らに 喰ふ。
たゝかひの果てにし時に、
神集ふ 荒神たち
鹿島神 香取神
ことゞひの ひと言もなし-。
たけみなかた 諏訪の御神
おほものぬし 三輪の大神
言稀に宣すみ語の、
言寂し-。なげきぞ 深き
- 折口信夫 「贖罪」
すさのを我 こゝに生れて
はじめて 人とうまれて-
ひとり子と 生ひ成りにけり。
ちゝのみの 父のひとり子-
ひとりのみあるが、すべなさ
天地は いまだ物なし-
山川も たゞに黙して
草も木も 鳥けだものも
生ひ出でぬはじめの時に、
人とあることの 苦しさ-。
すさのをに 父はいませど、
母なしにあるが すべなき-。
母なしに 我を産し出でし
わが父ぞ、慨かりける。
いと憎き 父の老男よ。
母産さば、斯く産すべしや-
胎なしに 生ひ出でし我
胞なしに やどりし我
天地の私生と
胎裂かで 現れ出でしはや-。
父の子の 片生り 我は、
- 日本人の神道観の建て直しをめざした折口信夫
2.歴史における「事実」と「現実」の違いについて
(再生時間 13分19秒)
- 岡野先生、渡部先生、それぞれのお話への感想
- キリスト教における「事実」と「現実」の違い
- 「事実」がどうであれ、キリストがいたことはヨーロッパ文化にとっては「現実」
- 日本の歴史における「事実」と「現実」/藤原氏の場合
- 古代神話をアイデンティティとした藤原氏
3.日本人の精神世界と海とのかかわり
(再生時間 5分30秒)
- 折口信夫の「まれびと神」
- 海と山と空は三位一体のようにつながっている
- 海とのつながりが深い山岳宗教としての修験道
- 柳田国男の「山の神とおこぜ」
コンテンツ名 | エンゼル・フォーラム「日本人の心の源郷『日本語(やまとことば)』 ~本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って~」 |
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収録日 | 2003年3月8日 |
講師 | 岡野弘彦、渡部昇一、コーディネーター:松田義幸 |
簡易プロフィール | 講師:岡野弘彦(國學院大學名誉教授) 講師:渡部昇一(上智大学名誉教授) コーディネーター:松田義幸(実践女子大学教授・森永エンゼル財団理事) 肩書などはコンテンツ収録時のものです |
主催:エンゼル財団 |
連載
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って はじめに
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 私にとっての『古事記』(岡野弘彦)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 私にとっての『古事記』(渡部昇一)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 私にとっての『古事記』
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 本居宣長をめぐっての対話(岡野弘彦)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 本居宣長をめぐっての対話(渡部昇一)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 本居宣長をめぐっての対話
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 折口信夫・小林秀雄をめぐっての対話(岡野弘彦)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 折口信夫・小林秀雄をめぐっての対話(渡部昇一)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 折口信夫・小林秀雄をめぐっての対話
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