本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 本居宣長をめぐっての対話(岡野弘彦)
【セッション2】本居宣長をめぐっての対話
岡野弘彦 國學院大学名誉教授
- 本居宣長の『古事記伝』
- 日本の神話の柱
- 本居宣長の「もののあはれ」論
1.本居宣長の『古事記伝』
(再生時間 14分32秒)
- 宣長以前は『日本書紀』のほうが圧倒的に評価が高かった
- 『古事記』の再評価を生んだ宣長の仕事
天地初発之時。於高天原成神名天之御中主神。次高御産巣日神。次神産巣日神。此三柱神者。並独神成坐而。隠身也 (『古事記』「神代一之巻」)
アメツチノハジメノトキ タカマノハラニナリマセルカミノミナハ アメノミナカミヌシノカミ ツギニタカミムスビノカミ ツギニカミムスビノカミ コノミハシラノカミハ ミナヒトリガミナリマシテ ミミヲカクシタマヒキ
- 戦後の西郷信綱による『古事記』注釈のなかにも宣長が生きている
- 古代の大和言葉を丹念にさかのぼった宣長の偉業
2.日本の神話の柱
(再生時間 11分39秒)
- 『日本書紀』の天地創造は漢意(からごころ)の説明
古に天地未だ剖れず、陰陽分れざりしとき、渾沌れたること鶏子の如くして、ほのかにして牙を含めり。其れ清陽なるものは、薄靡きて天と爲り、重濁れるものは、淹滞ゐて地と爲るに及びて、精妙なるが合へるは搏り易く、重濁れるが凝りたるは竭り難し。故、天先づ成りて地後に定まる。然して後に、神聖、其の中に生れます。故曰はく、開闢くる初に、洲壌の浮れ漂へること、譬へば游魚の水上に浮けるが猶し。時に、天地の中に一物生れり。状葦牙の如し。(『日本書紀』「神代上」)
葦牙(あしかび)のごと萌え騰(あが)る物に因りて成りませる神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遅(うましあしかびひこぢ)の神 (『古事記』)
- 日本の神話の柱/語ることと歌うこと
- 日本人は神をどう考えてきたか
さて凡て迦微(カミ)とは、古御典等に見えたる天地の諸の神たちを始めて、(中略)尋常ならずすぐれたる徳のありて、可畏き物を迦微とは云なり。すぐれたるとは、尊きこと善きこと、功しきことなどの、優れたるのみを云に非ず、悪きもの奇しきものなども、よにすぐれて可畏きをば、神と云なり。(中略)又人ならぬ物には、雷は常にも鳴神神鳴など云ば、さらにもいはず。(中略)すぐれてあやしき物にて、可畏ければ神なり、木霊とは、俗にいはゆる天狗にて、漢籍に魑魅など云たぐひの物ぞ。(本居宣長『古事記伝』)
3.本居宣長の「もののあはれ」論
(再生時間 6分32秒)
- 日本における文芸論の先駆け
- 歌と物語の響き合いのなかに「もののあはれ」の展開をみた宣長
- 国学者としての宣長/日本人の「モラスセンス」を追求する
- 契沖、真淵を継承しつながらも国学を一段進めた本居宣長
コンテンツ名 | エンゼル・フォーラム「日本人の心の源郷『日本語(やまとことば)』 ~本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って~」 |
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収録日 | 2003年3月8日 |
講師 | 岡野弘彦 |
簡易プロフィール | 講師:岡野弘彦(國學院大學名誉教授) 肩書などはコンテンツ収録時のものです |
主催:エンゼル財団 |
連載
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って はじめに
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 私にとっての『古事記』(岡野弘彦)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 私にとっての『古事記』(渡部昇一)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 私にとっての『古事記』
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 本居宣長をめぐっての対話(岡野弘彦)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 本居宣長をめぐっての対話(渡部昇一)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 本居宣長をめぐっての対話
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 折口信夫・小林秀雄をめぐっての対話(岡野弘彦)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って 折口信夫・小林秀雄をめぐっての対話(渡部昇一)
- 本居宣長・折口信夫・小林秀雄を辿って シンポジウム 折口信夫・小林秀雄をめぐっての対話
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