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フィレンツェに学ぶ芸術ルネサンス (2)

フィレンツェに学ぶ芸術ルネサンス (2)

講演 「『神曲』」の世界から

imamichi

今道友信 東京大学名誉教授・英知大学大学院名誉教授

※以下の記述内容は、当日会場において配布された、今道友信のレジュメの内容を転載したものです。
また、レジュメの内容はPDF形式ファイルとしてもご覧いただけます。

今道友信 会場配布レジュメ (PDF形式ファイル・515KB)

講演 「『神曲』」の世界から(1)


(再生時間 13分51秒)

0.難しい課題

a)四方塞がりの状況 垂直離脱しかない

1.学問の世界の逆説:「案ずるより産むが易い」ではなく「産むよりも案ずるが先」。「案ずるには古典を読め」

b)地獄の暗洞から垂直に離脱するDante

c) Salimmo su, el primo e io secondo,
tanto ch’i’ vidi de le cose belle
che porta ‘l ciel, per un pertugio tondo.
E quindi uscimmo a riveder le stelle.

導師が先立ち私が続き 登ればひとつの円い穴から 天の美しいものがみえそめ ここを出てはまた仰ぎ見る星(地・34.136-9)

d)Danteはvirgilio(古典の象徴)により秘路を経て垂直に離脱 人生は旅、傷つける旅

*Dante Alighieri 本名 Durante Alighieri(1265-1321)

講演 「『神曲』」の世界から(2)


(再生時間 13分05秒)

2.誰しもが悩む旅路の迷い

Dante:Divina Commedia 1307-21の間に成る(1265-1321)

e)Nel mezzo del cammin di nostra vita
mi ritrovai per una selva oscura
che la diritta via era smarrita.

われらの命の路の半ばに 暗い森を行き身に覚えたは 正しい道からそれていたこと(地.1.1-3)

f)日本語の旅の文

落花ノ雪ニ踏迷フ 片野ノ春ノ桜カリ、紅葉ノ錦ヲ衣テ帰ル 嵐ノ山ノ秋ノ暮、一夜ヲ明カス程ダニモ 旅寝トナレバ懶ニ 恩愛ノ契リ浅カラヌ 我ガ故郷ノ妻子ヲバ 行末モ知ズ思ヒ置キ、年久シクモ住馴し 九重ノ帝都ヲバ 今ヲ限リト顧ミテ 思ハヌ旅ニ出デ玉フ 心ノ中ゾ哀レナル(太平記40巻.巻第二 『俊基朝臣再関東下向事』小島法師? 応安-永和(1368-1374))

g)日本語の旅の文

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。
古人も多く旅に死せるあり。
予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず、海浜にさすらへ、
去年の秋江上の破屋に蜘の古巣をはらひて、
やゝ年も暮、春立る霞の空に白川の関こえんと、
そぞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて、取もの手につかず。
もゝ引の破をつゞり、笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより、松島の月先心にかゝりて、
住る方は人に譲り、杉風が別墅に移るに、
草の戸も住替る代ぞひなの家
面八句を庵の柱に懸置。 **

**松尾芭蕉 奥のほそ道(元禄7年 1694清書 1702出版 (1644-1694))

講演 「『神曲』」の世界から(3)


(再生時間 17分40秒)

3.詩は人類の母語である-Johann Georg Hamann (1730-1788)

h)北境の魔人(der Magus in Nordens) ドイツプロテスタントの思想家、信仰、体験、感情の哲学を以って立ち啓蒙主義、合理主義に反対し、信仰の確信が真理を保証する基準であるとする。Kant, Herder, Jacobiと親交あり。

i)なぜ詩は人類の母語であるか。それは詩と音楽が最も旅愁に訴えるからである。

j) Cio che da lei sanza mezzo distilla non ha poi fine, perche non si move la sua imprenta quand’ella sigilla.
神の善意から他者を経ないで したたるものには終わりはなくて 善意の刻んだ象(しるし)は消えぬ 人間の誕生の瞬間に神から霊が注ぎこまれる。(天・7.67-9)

k)酒はくめどつきぬ涙も吸われゆく故郷が高く澄みわたる空 志賀白風 その距離を縮めるもの

l)みめぐみに生きる人の祈りが 助けてくれれば短くなるが、ほかの祈りでは天はきかない(煉・4.133-5)

se orazione in prima non m’aita
che surga su di cuor che in grazia viva;
l’altra che val, che ‘n ciel non e udita.

コンテンツ名 ダンテフォーラム2006 「フィレンツェに学ぶ芸術ルネサンス」
収録日 2006年12月3日
講師 今道友信

会場:イタリア文化会館アニェッリホール
主催:森永エンゼル財団・イタリア文化会館・日本経済新聞社
収録映像:著作権者 財団法人エンゼル財団
本コンテンツでは、2006年12月3日、イタリア文化会館で開催されたダンテフォーラム2006「フィレンツェに学ぶ芸術ルネサンス」(約5時間)の模様を配信しています。

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