京都とフィレンツェの対話 第二部 『神曲』と『源氏物語』への目覚め(須賀由紀子)

京都とフィレンツェの対話 第二部 『神曲』と『源氏物語』への目覚め(須賀由紀子)

第2部 京都を世界に、世界を京都に

『神曲』と『源氏物語』への目覚め

森永エンゼル・カレッジ インターネット放送局
―その活用のケース・スタディ―

須賀 由紀子 エンゼル財団主任研究員

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1.授業の成果(学生の感想より)

・ 古典の言葉の美しさを感じた。「しのふ(思ふ)」という感動の心はすばらしいと思う。それは、世界に通ずるものなのではないか。私たちはそういった言葉に魅せられることを幸せに思わなければならない。(国文1年)

・ 源氏物語の光源氏は、プレイボーイなのではなく、光源氏の魂の成長であるということがわかり、今までの光源氏に対しての印象が変わった。(国文1年)

・ フィレンツェと京都を比べ、日本のいいところをもっと知ることができた。また、古くから伝統のある二つの都市であるから、何世紀にもわたって伝えられてきた総括的な全体の美、長い歴史の「空気」があり、その根本的なところには言葉があるということを知り、言葉が私たちの暮らしをはじめ、伝統や芸術や文学までをも支えているのだと思うと、言葉の持つ大きな意味を私たちはもっとよく知るべきだと思った。(英文2年)

・ 今までに、どちらも絵画化されたものを見てきた。なぜ、地獄を描いたような作品や女性の書いた恋愛小説(源氏物語)が、高い身分の教養のある人に、これほどまで求められてきたのか謎であったが、どちらも、古典を踏襲した上で、新たな要素も加えられたものであることがわかり、興味深かった。(美学美術史3年)

2.授業の目標と方法

・「人生80年時代」の生き方→「いかに人間らしく生きるか」が課題
・ 「人間らしく」=「言語に生きる」→言葉の結晶「古典」に「人間」を学ぶ。
・ 「古典」の言葉に学び、文化・芸術を奥深く味わう心につなげる。学生一人ひとりが自分自身の生き方の問題と重ね、関心領域を拡げることを目標に。
・ その方法→森永エンゼルカレッジ・インターネット放送局配信番組
「今道友信 ダンテ『神曲』連続講義」「岡野弘彦 源氏物語全講会」
を基本の「導き手」におき、テキストに触れていく。

3.前期の授業概要

1) 教養としての文化・芸術への視座――古典に学ぶ意義
「古典」の本来的意義について 【今道先生の講座のコンテンツ利用】

2)「母国語」で語ることの意義1,2
「民族の心をはらむ」「個人の内面を語る言葉」→母語への愛の大切さ
【岡野先生講義・今道先生講義の映像を部分的に引用しながら、解説】

3) 芸術文化都市/フィレツェと京都1,2,3――神曲と源氏物語と現代の生活文化
『神曲』と『源氏物語』(平安古典)の芸術文化開発力と現代のライフスタイル
【「ダンテ『神曲』と芸術文化都市フィレンツェ」(高階秀爾先生)のご講演から】
【「平安古典と芸術文化都市京都」(芳賀徹先生)のご講演から】

4) ダンテへの序1,2――『神曲』が背後に持つ古典古代の心の伝統を知る
1.ホメーロスについて
・「ホメーロス~ウェルギリウス~ダンテ」という大きな精神の流れ
・ホメーロスの詩のリズム(英雄六脚韻)とプラトーンの言語芸術論
【今道先生ダンテ連続講義コンテンツから該当箇所を視聴】
2.ホメーロスからウェルギリウスへ
・「イーリアス」の主題アキレーウスの英雄性の言葉と映画「トロイ」
・ホメーロスとウェルギリウスの詩作の精神と詩のリズム
【今道先生ダンテ連続講義コンテンツから、詩の朗詠箇所を利用して視聴】

5) 源氏物語への序1,2,3――神話・物語の系譜、「歌物語」の原点としての古事記
1.「八千矛の神の歌物語」
・出雲系神話の流れ。「八千矛の神の歌物語」を岡野先生の講座をもとに鑑賞。
歌の力と、古人の男女の恋のありようの源流を学ぶ。
【岡野先生源氏コンテンツから、八千矛の歌物語の朗詠と解説箇所を利用】
2.倭建の物語(1) 神話の主人公の魂の成長と巫女の力
・大和系神話の倭建の物語の鑑賞。
・主人公の魂の成長、そこに関わる女性たちの力。岡野先生の文献をもとに解説。
3.倭建の物語(2) 望郷の歌
・倭建の望郷の思い、国思歌。古代人の心を印象深く捉える。

コンテンツ名 ダンテフォーラム in 京都「芸術文化都市の戦略―フィレンツェの魅力・京都の魅力」/ダンテフォーラム in 京都「文学と芸術の対話」
収録日 2005年7月24日
講師 須賀由紀子
簡易プロフィール

 講師:須賀由紀子

(エンゼル財団主任研究員)

肩書などはコンテンツ収録時のものです

会場:京都造形芸術大学・春秋座
主催:財団法人エンゼル財団・京都造形芸術大学・日本経済新聞社
収録映像:著作権者 財団法人エンゼル財団
本コンテンツでは、2005年、京都造形芸術大学で開催された2つのシンポジウムの模様を配信しています

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