ヨゼフ・ピーパー『余暇と祝祭』を読む
本当の余暇は無為ではなく、真に人間らしい豊かな活動である。
敗戦後のドイツ社会に警鐘を鳴らしたピーパーの『余暇と祝祭』は、人生100年時代を迎えた現代人にも必読の書である。邦訳を手がけた哲学者・稲垣良典と、レジャー哲学の第一人者である松田義幸の両氏が『余暇と祝祭』を現代日本人のためにわかりやすく解説する。
書籍紹介
ヨゼフ・ピーパー著 稲垣良典訳『余暇と祝祭』 (講談社学術文庫)
原題:MUSSE UND KULT
目次
序文 ヨゼフ・ピーパー
序文 T.S.エリオット
第1章 西洋文化の基礎としての余暇
第2章 絶対化された労働
第3章 余暇の本質
第4章 真の余暇を実現するために
付説 プロレタリアおよび非プロレタリア化について
解説 稲垣良典
第1章 西洋文化の基礎としての余暇
・復興するドイツの街角でピーパー先生が語ったこと
・強制収容所「働けば自由になる」
・余暇の根本にあるもの
お話:稲垣良典 九州大学名誉教授
聞き手:松田義幸 尚美学園顧問・森永エンゼル財団理事
第2章 絶対化された労働
・近代における「精神的労働」の誕生
・中世では「知的な労苦」は評価されないのか?
・ピエティスムス(敬虔主義)とキエティスム(静寂主義)
・中世の哲学者トマス・アクィナスの考え方
第3章 余暇の本質
・人間として大事にしなければいけないことを疎かにしているのが「怠惰」
・働き過ぎの状態はかえって「怠惰」になる恐れがある
・余暇の本質と観想(コンテンプラチオ)
・観想とは 自分がもつ最高の能力を最高の対象に向かって発揮している状態
第4章 真の余暇を実現するために
・内面のリアルな世界を見てとる精神の視力
・キリスト教徒として礼拝に参加しなければ「余暇」は実現できないか?
・ものごとをあるがままに眺めることがそのまま「礼拝」になる
“われわれが余暇というものを本当に実現していこう、わたしたちの生活の中で一番大事なものとしてそれを育てていこうする、それがそのまま礼拝である。”(稲垣良典)
“ピーパーもエリオットも共に、西洋文化はキリスト教の受肉であると考えていた。”(松田義幸)
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