モボ・モガが愛したチョコレート

モボ・モガが愛したチョコレート

歴史を伝えるパッケージ 森永ミルクチョコレート100周年

日本で最初にカカオ豆からチョコレートが製造されたのは1918年のことでした。戦前のパッケージやポスターを中心にして、モボ・モガが愛したチョコレートを紹介します。

講師:
野秋誠治
元 森永製菓株式会社史料室長
日本アーカイブズ学会登録アーキビスト

 

目次

 

モボ・モガが愛したチョコレート
歴史を伝えるパッケージ
森永ミルクチョコレート100周年

1.モボ・モガ桜(池田永治 作)

森永製菓の史料室で「ミルクチョコレート/モガモボ桜」と名付けているポスターは、池田永治さんの作品で、1926年に製作されました。

 

2.チョコレートの歴史 メソアメリカからヨーロッパへ

『チョコレートの歴史』という本には「チョコレートは、その長い歴史の約九割に相当する期間、食べ物ではなく飲み物だったのだ。」と書かれていました。

フェルナンド・コルテスがたくさんの略奪物と一緒にカカオをスペインに持ち帰ったのは1528年のことです。
ヨーロッパでもメソアメリカ同様に、「飲むチョコレート」でしたが、1847年に固形チョコレートが発明されます。

ココアの発明、固形チョコレートの発明、ミルクチョコレートの発明、コンチング工程の発明が、チョコレートの四大発明、と言われています。

 

3.日本でのチョコレート

江戸時代の文献にもチョコレートは登場し、1878年には、米津風月堂がかなよみ新聞に”猪古齢糖”の広告を掲載します。そして、森永製菓の創業時(1899年)の引き札(チラシ広告)には「フレンチクリーム チョコレート」が記載されています。

 

4.カカオ豆からのチョコレートの一貫製造

1918(大正4)年8月27日、日本で初めて原料カカオ豆から一貫製造されたチョコレートが誕生し、原料用ビターチョコレート(100ポンド缶入)として発売され、10月1日には森永ミルクチョコレート(1枚15銭)が発売されました。

 

5.大正時代のポスター・パッケージ

1926(大正15)年5月25日、明治製菓(当時)が川崎工場でチョコレートの本格的製造を開始します。

 

6.昭和初期のポスター・パッケージ・キャンペーン

チョコレートの販売競争が激しくなります。森永製菓は、「森永チョコレート賞作文詩歌」の募集、映画「沈丁花」とのタイアップ、プロムナード・コンサートの実施等のキャンペーンを展開するとともに、専属のイベントガール、「スヰートガール」(スイートガール)を誕生させました。

 

7.統制から復興へ

チョコレートは1937年頃までが戦前の最盛期でした。1940年12月から1951年5月までの約10年間、カカオ豆の輸入は空白状態でした。
1950年8月に菓子類価格統制が撤廃されると、1951年3月に明治ミルクチョコレートが販売を再開し、森永製菓も1951年9月に森永ミルクチョコレートを発売しました。

 

8.<引用・参考 文献>

稲垣恭子,女学校と女学生,中央公論新社,2007
井上寿一,戦前昭和の社会1926-1945,講談社,2011
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小原博,日本マーケティング史 現代流通の史的構図,中央経済社,1994
加藤宗哉,ココアひとすじの道 竹内政治の百年,大東カカオ株式会社,1996
川北稔,砂糖の世界史,岩波書店,1996
斉藤美奈子,モダンガール論,株式会社文藝春秋,2003
ソフィー・D・コウ/マイケル・D・コウ,チョコレートの歴史,河出書房新社,2017
武田尚子,チョコレートの世界史,中央公論新社,2010
編集 株式会社電通,松崎半三郎,森永製菓株式会社,1964
成田龍一,大正デモクラシー シリーズ日本近現代史④,岩波書店,2007
日本チョコレート・ココア協会,日本チョコレート工業史,日本チョコレート・ココア協会,1958
浜野潔・井奥成彦・中村宗悦・岸田真・永江雅和・牛島利明,日本経済史 1600-2000 歴史に読む現代,慶應義塾大学出版会,2009
監修株式会社明治,チョコレート検定,学研プラス,2016
明治製菓株式会社,明治製菓の歩み 買う気つくって60年 1916-1976,明治製菓,1977
森永製菓株式会社,森永五十五年史,森永製菓,1954
森永製菓株式会社,森永100年史 はばたくエンゼル、一世紀,森永製菓,2000
八杉佳穂,チョコレートの文化誌,世界思想社,2004
株式会社ロッテ,ロッテ50年のあゆみ-21世紀,ロッテ,1998
鷲田清一(編著),大正=歴史の踊り場とは何か,講談社,2018
國文学7月臨時増刊号「食」の文化誌,學燈社,2003

夏目漱石『生誕150年記念 夏目漱石 名作セット』(ゴマブックス,2017)
江戸川乱歩『孤島の鬼』(東京創元社,2003)
共に電子書籍本

写真は森永製菓株式会社所蔵
『販売研究』等の森永製菓広報誌も参照

コンテンツ名 歴史を伝えるパッケージ 森永ミルクチョコレート100周年
収録日 2018年7月1日
講師 野秋誠治
簡易プロフィール

講師:野秋誠治

(元 森永製菓株式会社史料室長 日本アーカイブズ学会登録アーキビスト)

肩書などはコンテンツ収録時のものです

会場:たばこと塩の博物館
主催:一般財団法人森永エンゼル財団
共催:たばこと塩の博物館

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