稲垣良典 トマス・アクィナスに学ぶ
中世哲学を集大成したトマス・アクィナス。
彼が著した『神学大全』の核心とは何か。われわれ現代人はそこから何を学ぶことができるのか。
中世哲学の第一人者、稲垣良典 九州大学名誉教授が語るトマス哲学の魅力と現代人へのメッセージ。
お話:稲垣良典 九州大学名誉教授
聞き手:
犬塚潤一郎 実践女子大学教授
片山 寛 西南学院大学教授
松田義幸 尚美学園大学学長・森永エンゼル財団理事
<第1部> わたしとトマス哲学
<第2部> 『トマス・アクィナス「神学大全」』(稲垣良典著 講談社選書メチエ)を読む
<第1部> わたしとトマス哲学
第1回 中世哲学との出会い
- 高等学校の学生時代に、岩下壮一神父の『信仰の遺産』を読む
- ジルソンの書物などを通じて中世哲学への関心が深まる
- 東大でトマス哲学を研究する
- 助手として南山大学へ行く
- 今道友信先生のこと
- アメリカに留学し最新のトマス研究にふれる
第2回 グレートブックスとトマス・アクィナス
- 中世哲学の核心が落丁して輸入された西洋哲学
- 自然法と日本国憲法
- ロールズ先生との議論
- グレートブックスとトマス・アクィナス
- ヨゼフ・ピーパー先生との出会い
第3回 目に見えないものを感じるちから
- 法について ―自然法と実定法―
- 目に見えないものを感じるちから
- ほんとうに善いものへのあこがれをもつ
- 人間には限界を超えて何かを受け入れるキャパシティがある
第4回 トマス・アクィナスと新プラトン主義
- パリ大学におけるトマス・アクィナス
- トマスと新プラトン主義
- exitus (出ていくこと)とreditus (帰っていくこと)
- 繰り返し自分の中に立ち返る
第5回 トマス哲学における自然法
- トマス哲学における自然法
- 価値の多様性はよいことか
第6回 国家と人間 ~ジャック・マリタンの哲学~
- 国民主権とは何か ―人権の基礎と自然法―
- 哲学者は流れに逆らって泳ぐ
- 晩年のジャック・マリタン
<第2部> 『トマス・アクィナス「神学大全」』
(稲垣良典著 講談社選書メチエ)を読む
第7回 はじめに|『神学大全』をどう読むか
- 一冊の書物として『神学大全』を読む
- 『神学大全』はすべてのひとに開かれている
- 参考資料:はじめに―『神学大全』をどう読むか(PDF形式ファイル)
第8回 第1章|挑戦の書としての『神学大全』
- 神学はなぜ必要なのか
- 信仰と理性との緊張関係
- 『神学大全』は挑戦の書である
- 参考資料:第一章 挑戦の書としての『神学大全』(PDF形式ファイル)
第9回 第2章|神の問題 -「5つの道」の意味
- 「神学」の主題は神である
- トマスの神存在論証の根本的前提
- 「神の存在」論証
- 「五つの道」のトマスの意図
- 参考資料:第二章 神の問題―「5つの道」の意味(PDF形式ファイル)
第10回 第3章|「交わり・即・存在」―人格(ペルソナ)のパラドックス
- 一なる神と3つのペルソナ
- 御父・御子・聖霊
- 「ある」ということの深い意味
- 交わり・即・存在
- 参考資料:第三章 「交わり・即・存在」―人格(ペルソナ)のパラドックス(PDF形式ファイル)
第11回 第4章|創造と宇宙論
―トマスの「創造概念の三段階の展開」―
- 創造と宇宙論
- 無からの創造について
- 創造は関係である
- 創造と救い
- 参考資料:第四章 創造と宇宙論(PDF形式ファイル)
第12回 第5章|「悪」の問題
- アウグスティヌスの問い
- 善・悪二元論について
- 世界の創造と悪の問題
- 悪は善の欠如である
- 善き意志と悪からの解放
- 参考資料:第五章 「悪」の問題(PDF形式ファイル)
第13回 第6章|すべての人が幸福を欲しているか?
- 幸福とは何か
- 人間の本性は未完成
- 究極の目的である幸福をめざして生きる
- アリストテレスの幸福論
- トマスの幸福論
- 参考資料:第六章 すべての人が幸福を欲しているか?(PDF形式ファイル)
第14回 第7章|トマスの政治哲学 ~「共通善」の復権~
- 共通善とは何か
- ホッブスとマルクスのドグマ
- 「万人は万人にとって闘いである」は本当か
- 法の支配と徳の支配
- 交換正義と配分正義
- 参考資料:第七章 トマスの政治哲学 ―「共通善」の復権―(PDF形式ファイル)
より深く学ぶために ―参考図書―
今回の企画に関連する稲垣先生のご著書をご紹介します。
参考書
1.『トマス・アクィナス<神学大全>』講談社選書メチエ2009
2.『人間文化基礎論』長崎純心大学学術叢書/九州大学出版会2003
3.『問題としての神―経験・存在・神―』長崎純心レクチャーズ/創文社2002
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