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スタッフブログ エンゼルカレッジ広報部

「ミルワード神父のシェイクスピア物語」の魅力

2016年5月2日 10:08

「ミルワード神父のシェイクスピア物語」では、現場のカメラマンとして参加させていただいております。
ミルワード先生のお話を最初に伺ったのは、やはりエンゼル財団(当時)が主催していたフォーラムの撮影現場でした。
その時、私の人生において非常に重要な意味を持つお話を伺いました。それはどんな人生にもマクベス夫人がいるというお話でした。
ミルワード先生は、その日、『源氏物語』についてお話をされていました。そして『源氏物語』のなかではレディ・コキデン(弘徽殿の女御)がマクベス夫人であるということを指摘されました。
どういうことかというと、面白いドラマにはマクベス夫人のような圧倒的な悪役が重要で、登場人物が善人ばかりではたいした物語にならない。『源氏物語』を面白くしているのも弘徽殿の女御のような存在であるというお話でした。
そしてこのことは、私たちの人生の現場においてもあてはまるのではないか。そのようなことをおっしゃいました。
会場の後ろからビデオカメラを回していた私は、このお話を興味深く伺いました。
それ以来、私は撮影などの現場で意味不明な注文をぶつけてくるクライアントに出会うと、心の中でその人をマクベス夫人と呼ぶことにしています。男でも女でもマクベス夫人です。声に出して言うとトラブルになるので、あくまで心の中で呼びます。
ところがこのような習慣が身についてから気がついた事は、マクベス夫人がいない現場は実のところなんだか面白くない、ということでした。
気の合う仲間だけで制作する番組は、思い通りには進行しますが、何か一線を越えないというか、想定内でこぢんまりと終わってしまうのです。
反対にマクベス夫人がいる現場は、最初は辟易するのですが、結果的にはより面白いものができるのです。
私はこのことを「ミルワード神父の法則」、あるいは「マクベス夫人現象」と密かに呼んで仕事の指針のひとつとするようになりました。
2015年の春から、連続講座「ミルワード神父のシェイクスピア物語」の収録がはじまりました。(2016年度も継続中)このように私にとって非常に大事なことを教えて下さったミルワード先生の講義を再び撮影させていただく機会に恵まれた事は大変ありがたいことでした。

講義収録の現場、SJハウス
「ミルワード神父のシェイクスピア物語」は上智大学の四谷キャンパス内にある、SJハウスと言う建物で収録されています。講義は土曜日の午後2時から始まります。私たち撮影スタッフはだいたい正午過ぎに会場に入ります。カメラの三脚を立てたり、マイクロフォンの準備をしたりしていると、ミルワード先生が立ち寄っていらっしゃってご挨拶されます。私たちのようなスタッフにも声をかけてくださる神父さまです。
しかしミルワード先生の講義にも困ったところがあります。それはジョークが面白すぎて、しばしば配信できないことです。ここだけの話ですが、英国の王室に関するジョークなどは大変面白いです。でもそのままネットで配信するにはブラックすぎるので編集の段階でカットになります。ちょっと残念ですね。
でも注意して映像をご覧になると、どこで話がカットされているのか、前後の脈絡から想像がつくかもしれません。
面白いのはそうしたチャールズ皇太子の離婚を巡るようなお話(いけない! ちょっとバラしちゃってますね)が、いつの間にか、ヘンリー8世(1491 – 1547)の離婚をめぐるエピソードにつながっていくところです。
ミルワード先生のなかでは、英国の中世、近世そして現在が、やはりまるごとの英国史として有機的につながっているのだなと感じます。
とにかく、私が世界史の授業で学んだイギリス史とは全く違う印象です。学校で習った歴史はもう死んでしまった歴史のような気がしていましたが、ミルワード先生からお聞きする英国史、シェイクスピアの時代の出来事は生き生きとしています。それは先生ご自身の意識が大きな歴史の中を生きているからだと思います。

体調を崩されたことから一時は開催が危ぶまれた今回の講義シリーズでしたが、2015年度は無事に全10回の講義を収録させていただくことができ、大変ありがたく感じています。先生ご自身も奇跡的だとおっしゃっていました。
私はキリスト教の信仰がないので、奇跡の意味が本当のところはよくわかっていないのかもしれません。ただ、11月のよく晴れた日の講義で、先生が窓の外を眺めながら、「こんな天気の良い日に庭を歩けば全てが美しい。全てが奇跡であるかのように」とおっしゃっていたのが印象的でした。ミルワード先生が学者であると同時に、イエズス会のミルワード神父でもあることが、やはりこの講座の真の魅力だと思う瞬間でした。

熊倉次郎(映像ディレクター)

<番組のご案内>
1. ミルワード先生が『源氏物語』の弘徽殿の女御についてお話になった講演。
講演「英訳を通してみた源氏物語」(「世界文学としての源氏物語-源氏物語を世界中の人々に伝えたい (2)」)

2. ミルワード先生がシェイクスピア劇の謎に迫る連続講義「ミルワード神父のシェイクスピア物語」(全10回)

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