新宿御苑の冬の樹木
冬の公園で植物観察すると...
「公園の樹木というのは伸びのびと育っているので、その樹木の本来の性質がよくわかるのです。特に冬場は葉っぱが落ちている樹も多いので、どういう樹形なのかが、はっきりと見えます。今回は新宿御苑ということですので、ここにしかない『たから物』の樹木も観察してみましょう」(近田先生)
天気の良い冬のある日、植物学者の近田文弘先生にご案内をいただきながら、東京都新宿区の新宿御苑で植物観察会を行ないました。今回の観察会では渋谷区鳩森小学校の5年生、6年生のみなさんに参加していただきました。
観察のポイント
1) 大きい自然から小さい自然へ目線を移して観察します。
2) 樹木どうしの競い合いの様子を観察します。
3) ルーペを使ったり、スケッチして観察と記録をします。
4) 二等辺三角形の定規と巻尺で木の高さを測ります。
5) いままで見えていなかったことに感動できたら成功です。
1.さあ、はじめよう!
(再生時間 7分)
観察をはじめる前の準備。
- 今日観察する「新宿御苑」について
- 地図の折りかた|野帳(フィールドノート)の使いかた
- 野帳(フィールドノート)に書く内容(日付、場所、天候)-すべてが大事な記録
2.新宿御苑の「風景」を見る
(再生時間 11分)
自然を見るとき、心を込めて観ると「観察」ができる。
- ひとの目はカメラのレンズとどう違うか
- 気持ちを集中すると、だんだん自然がみえてくる
- 遠景(えんけい)から中景(ちゅうけい)、 そして近景(きんけい)へ 視線をかえる
- フランス式の庭園とイギリス式の庭園はどう違う?
3.中景(ちゅうけい)を見る
(再生時間 6分)
- 「中景」は、一本一本の樹木が区別できる距離
- 木は成長すると種類ごとの姿がはっきりしてくる
- 公園では樹木の形を観察しやすい
- 隣同士は仲良くなれない|樹木の競い合いを観察しよう
4.近景(きんけい)を見る
(再生時間 12分)
- ユリノキ|メタセコイア(アベボノスギ)|セコイアメスギ
- 樹木の根はどこまで伸びているか?
- 二等辺三角形と巻尺で、木の高さを測ってみよう!
- 相似の原理を使うと、木の高さが分かる
- 底辺の長さが木の高さに一致する|三角定規を水平に保つ
5.ルーペで小さなものをみる
(再生時間 6分)
- 見えない世界が見えるルーペの世界
- ルーペの使い方|まずは自分の爪を観察
- ルーペは目のすぐ前に持ち、レンズに対象を近寄せる
- 注意!:絶対にルーペで太陽を見ないこと
- 観察した植物を野帳(フィールドノート)にスケッチする
6.新宿御苑のたからもの その1
(再生時間 5分)
- 板根(ばんこん)があるスダジイの巨木
- 板根(ばんこん)は熱帯の樹木の特徴
- 新宿御苑以外では、なかなか見ることができない
- 常緑樹(じょうりょくじゅ)と落葉樹(らくようじゅ)
- ムクノキも板根を持つ珍しい樹木
7.新宿御苑のたからもの その2
(再生時間 5分)
- アメリカから移植されたラクウショウの巨木
- 地面からにょきにょき突き出しているラクウショウの気根
- 気根(きこん)は沼地に生えるラクウショウの特徴
- 御苑のたからもの|旧約聖書にも登場するレバノン杉の巨木
- 5千年以上も前から、船や家をつくるために使われてきた
8.セーターを着たコブシのつぼみ
(再生時間 3分)
- 春先に咲くための準備がはやいコブシの花
- つぼみのまわりの毛は寒さをふせぐため
- コブシは「冬来たりなば 春遠からじ」を実現している
- 今日の感想を野帳(フィールドノート)に書いておこう
コンテンツ名 | 森永エンゼル・カレッジ子育て支援研究フォーラム 「近田先生と行く植物観察会|新宿御苑の冬の樹木」 |
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収録日 | 2009年12月8日 |
講師 | 近田文弘 |
簡易プロフィール | 講師:近田文弘(国立科学博物館名誉研究員) 1941年新潟県生まれ。京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。国立科学博物館植物研究部室長など歴任。専門は植物分類学で種子植物の系統分類、植物相の研究が主。その他、博物学、樹木学、植生学、民族植物学、景観学、環境科学、地球環境論、自然保護、自然観察など幅広く関心を寄せる。山野の押し葉標本を収集。自らの足で歩いて、自然を「観る」ことを推奨する。 肩書などはコンテンツ収録時のものです |
場所: 新宿御苑 |
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