⑤冬の樹木草花

身近な自然観察 ⑤冬の樹木草花

2020年12月は、新型コロナウイルス感染症により、人との交流や移動が制限されていました。今回はそんな状況ですので、遠くへ出かけなくても楽しめる、身近な自然の樹木草花について観察のポイントを紹介します。

身近な場所で冬の樹木草花を観察してみよう!(17分間)

制作・監修:NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク
 

 

身近な自然にでかけてみよう

2020年12月。世田谷区立岡本公園から、湧き水でできた丸子川沿いを瀬田四丁目旧小坂緑地へと向かいます。途中に大きなクスノキがあり、ツタ(ツル植物)がたくさん巻き付いていました。

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ツル植物は、自分では上へ伸びていけないので、太陽の光を求めて近くにある木に巻き付きながら、高いところまで伸びていきます。
じっとしているような植物ですが、まわりの生きものたちと関係性をもちながら生きている様子を観察してみましょう。

 

今回の観察の場所は、東京都世田谷区の二子玉川から徒歩で15分くらいの住宅地を流れる丸子川近く、「瀬田四丁目旧小坂緑地」です。緑地内は、「国分寺崖線」の一部で、この崖線の森に雨がしみこみ、水が湧き、その湧き水が小川を作っています。

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森があり、川があることは、いろいろな植物や生きものがくらす事ができる、「生物多様性」に大切な環境です。いろいろな生きものがいる環境をよく見てみましょう。

 

冬に咲く花ロウバイ:撮影時の12月にはつぼみと、実、種が観察できました。開花は1月~2月。

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ロウバイの実

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ロウバイの種

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ロウバイのつぼみ

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ロウバイの花(ソシンロウバイ)良いにおいがする

 

身近な自然は、何度でも行ける場所。季節ごとに同じ場所に立って全体を見渡してみましょう。同じ木が、違う表情をしているのがわかります。

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冬に観察に出かける時は、暖かい服装で、両手があくリュックがおすすめです。

 

秋や冬になり、気温が低くなると、葉っぱが赤くなったり、黄色くなったりします。

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葉が赤くなることを「紅葉」といい、気温差が激しいと、色が濃く、鮮やかになると言われています。
朝の気温が低く、日中に暖かい日が続くと、紅葉が赤く美しくなるのですね。

 

いろいろな葉をくらべてみよう

葉っぱの色は、種類によっても、その環境によっても違います。みかけは似ているようでも全く違う種類だったり、同じ種類でも、その生きている環境で色がちがっていたりします。いろいろな葉を集めてくらべてみましょう。

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植物メモ:イロハモミジ
公園などに植えられていることも多いとても身近な色づく木。

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植物メモ:ニシキギ
ツヤツヤとした光沢(こうたく)のある葉が特徴。

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植物メモ:ドウダンツツジ
ツヤツヤとした光沢(こうたく)のある葉が特徴。

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植物メモ:イチョウ
黄色く色づくウチワのような葉の形が特徴。東京都の木。

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植物メモ:オニドコロ
ヤマイモの仲間のツル植物。

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植物メモ:オニドコロの種
かた側に「翼(よく)」がついていて、クルクル回りながら地面に落ちる。

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植物メモ:アカメガシワ
葉のうら側に毛が生えていてザラザラしている。

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植物メモ:イイギリ・イイギリの実
葉のうら側が白っぽいのが特ちょう。昔、大きな葉でゴハン(飯)を包んだというのが「飯桐(イイギリ)」の和名の由来。葉を落とした後も赤い実がよく目立つ。赤い実は、鳥たちが見つけやすく、遠くへ運んでもらうことができる。

 

葉や、実が色づく植物。それぞれが、ちがう色をしています。同じ種類の木でも、生えている環境によって変わってきます。私たち人間がひとりひとり違うように、それぞれみんな違います。

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秋冬の森には木の実や種が落ちています。拾ったものを並べて飾ってみましょう。いろいろな形がありますね。

 

春への準備をさがしてみよう

つぼみのまま冬を越して春を待つ植物もあります。冬のつぼみも観察してみましょう。

 

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植物メモ:ミツマタ
枝の先が3つに分かれることから「三椏・三又・三枝(どの表記でもミツマタ)」とよばれる。

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植物メモ:ミツマタ
つぼみのまま冬越し、春になると花を咲かせる。樹皮は和紙の原料。

 

「くっついて種子を広げる植物」を観察してみました

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実験中:しげみの中に入って歩くとどうなるかな?

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しげみの中にはいってみると、靴下や靴にベタベタした種がたくさんつきました。

!自然観察の注意点:「くっつく種」の中にはとげのようになっているものもあり、しげみの中には思わぬ危険なものがあるかもしれません。しげみに入るときは長靴や厚手の靴下などで肌を出さないようにしましょう。

 

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植物メモ:ケチヂミザサ
イネ科。ベタベタした粘液を出す毛が生えている。

 

種の中には、いろいろな場所で子孫を残すため、だれかに運んでもらえるように、ベタベタしたりくっつきやすくなっているものがあります。

植物は自分では歩いたり走ったりできないので、虫や動物に運んでもらうために、くっつきやすくなるように粘液をだしたり、トゲをつけたりするものがあります。
イイギリのように、赤い実をつけることで、鳥に食べてもらい、鳥のフンによって種子を遠くへ運んでもらうものもあります。

生物多様性には、いろいろな生きものが関係しあうことが大切です。

 

葉が落ちた木を観察してみました

冬に葉を落とす木のことを「落葉樹」、葉を落とさない木を「常緑樹」とよびます。落葉樹、常緑樹、両方があることも生物の多様性を保つのに大切な環境です。
葉が落ちる樹木は、木のはだ(幹)のようすを観察してみましょう。

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ムクノキの老木。古くなると、自分で樹皮を落とします。

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植物メモ:ムクノキ
落葉樹。成長が早く大木になる。葉に生えた毛のざらつきを使って、細工物をみがくことに使われていた。

自然にめくれた皮と木の間には、小さな虫が越冬していることがあります。虫たちは、古い木に守ってもらって、春の準備をしているのですね。

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自分で皮を落としていく古い木で越冬する虫たち

!自然観察の注意点:自然にめくれていない樹皮は無理にはがさないようにしましょう。水を吸いあげる管が切れ、木が枯れてしまいます。

 

コナラのどんぐりをさがしてみました

身近に見つけやすいどんぐり。「どんぐり」はブナ科の果実のことをまとめてそう呼びます。

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植物メモ:コナラ
1960年代に化石燃料が主力になる前は、木炭・薪の原料として使われていた。シイタケの原木はコナラ、クヌギが多い。

 

どんぐりのぼうしのことは「カクト(殻斗)」といいます。

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どんぐりは、葉っぱの形、実の形、カクトの形がいろいろあるのでいろんなところで拾って調べてみると面白いですよ。

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地面を見てばかりでしたが、観察の途中で葉の落ちた木の間に「ヤドリギ」を見つました。

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冬は、葉っぱが落ちている木も多いので、見上げてみるとめずらしい「ヤドリギ」を見つけられるかもしれません

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植物メモ:ヤドリギ
地面には根をはらず、他の樹木の枝(えだ)の上に生育する常緑の多年生植物。ヤドリギの実は、鳥が良く食べ、フンを木にくっつけることで増えていく。ヤドリギは、他の樹木の上でないと生きられない。

!自然観察の注意点:木を見上げるときは、根や苗を踏まないように足元に注意して観察しましょう。

 

「ロゼット」を見つけました

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植物メモ:ロゼット
もともと「バラの花、バラの花飾り」などを意味することば。寒さや風雪に耐え、少しでも太陽の光を受け止められるように、地面にはりつくように放射状に葉を出した植物の形。

キク科の仲間は冬の間、「ロゼット」という形で冬ごしをするものが多いです。
冬でもたくさん日差しを受けることができる「ロゼット」。ロゼットで冬ごししている草花たちを探してみましょう。

 

おもしろい葉っぱ

公園の入り口におもしろい葉っぱを見つけました。肉厚な葉が特徴の「タラヨウ」は、その葉の裏に枝などで文字を書いて手紙として使用していたことから、「ハガキ(葉書)」の語源とも言われています。「郵便局の木」に定められていて、東京中央郵便局に植えられているそうです。
かつての日本で、「占い」などにも使われていたので、神社や、お寺に植えられていることが多いそうです。

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植物メモ:タラヨウ
葉っぱの裏に字が書けます。

かつての日本人は樹木草花をいろいろなものに活用していました。木の名前には利用に由来するものも多くあります。
樹木草花は私たちのくらしとも、深くつながっているのです。

身近な公園の自然観察に行ってみました。この動画でご紹介したのは、21種類。
でも、お伝え出来なかった樹木草花もまだまだたくさんあります。

いろいろな季節に、いろいろな身近な場所で、自然観察してみてくださいね。

 

観察した樹木草花
2020年12月13日(日)AM10:00~PM2:00
東京都世田谷区国分寺崖線の斜面林および瀬田四丁目旧小坂緑地
クスノキ
ツタ
セリ
ムラサキシジミ(チョウ)
ロウバイ
イロハモミジ
ニシキギ
ドウダンツツジ
イチョウ
オニドコロ
アカメガシワ
イイギリ
ミツマタ
ケチジミザサ
ムクノキ
コナラ
ヤドリギ
ハルジオン
ウラジロチチコグサ
セイヨウタンポポ
タラヨウ

 

冬の樹木草木の観察に便利な図鑑

・『ヤマケイハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花①/樹に咲く花―離弁花② 』
・『ヤマケイハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物 』

1930年創業、2020年4月1日に創立90周年を迎えた「山と溪谷社」(通称ヤマケイ)
ハンディ図鑑はアプリも含めて22種(2021年1月現在)。その中でも、冬の樹木草花の観察にオススメの2冊です。

 

・『落ち葉でしらべようどんぐりのいろいろ(しぜんたんけんずかん)』(小峰書店)

小学校低学年から中学年向け。木が常緑樹であるか落葉樹であるかに注目し、ていねいに観察し調べることで、ドングリの種類がわかるようになっている。生物細密画家、松原厳樹さんの絵も美しい。

 

・『野草のロゼットハンドブック』亀田龍吉著(文一出版)

野原や道端で普通に見られる野草のロゼット(地面すれすれに葉を放射状に出したバラ模様の状態)と、似ている姿勢の低い野草77種を収録。ロゼットの写真のほか、識別に役立つ葉や花の拡大、成長した草姿も掲載。ロゼットを「調べる」ヒントが満載されている。

動画を見る

コンテンツ名 身近な自然観察 冬の樹木草花
収録日 2020年12月13日
講師 講師:関口克己、聞き手:工藤美紀
簡易プロフィール

講師:関口克己
(NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク 研究員)

聞き手:工藤美紀
(NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク、せたがや水辺の楽校インタープリター)

肩書などはコンテンツ収録時のものです

制作・監修:NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク
主催:一般財団法人森永エンゼル財団

さまざまな分野に精通し、経験、知識豊富な講師の方々をご紹介します。

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