①水辺の生きもの

身近な自然観察 ①水辺の生きもの

大都会を流れる川でも、アユが産卵しに来るほど自然豊かな世田谷区・多摩川。子どもたちがタモ網をかまえて水辺をガサガサしてみると、いろいろな生きものたちが顔を出しました。
今回は、河川でのフィールドワーク(観察会)を安全に運営するための方法を紹介します。

 

観察フィールドの紹介(3分5秒)

 
●観察フィールド・野川

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今回の水辺の生きもの観察は、二子玉川駅付近で多摩川に合流する野川がフィールドです。動画では、このあたりで見られる水辺の生きものたちをたくさん紹介しています。

 
●二子玉川周辺の多摩川・野川で見られる生きものたち

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川に入る準備をしよう(3分47秒)

 
●水辺の生きもの観察の服装

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川に入る前に子どもたちの体調・服装などをチェックします。帽子も用意しましょう。始める前には水分補給も忘れずに。
長ズボンに靴下をはきましょう。靴はウォーターシューズやかかとが固定できるサンダルにします。
ライフジャケットは体型に合うように様々なサイズを準備します。きちんと装着できているか、大人が最終チェックをするようにしましょう。

 
●使用する道具

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タモ網は先端部分が平らで、柄の長さが短いものが使いやすいです。つかまえた生きものはビニール袋に入れるので用意しておきます。

 
●水辺の安全確保

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活動場所の上下流端にスタッフを配置し、深い場所や流れの速い場所に立ち入らないようにします。必要に応じてロープを張るなどしましょう。
水深は子どものひざ下くらいまでがベスト。小さい子や足もとが不安な子には手を貸し、複数のスタッフが全体を見守るようにしましょう。

 

水の中の生きものをつかまえる(5分49秒)

 
●生きものを入れるビニール袋の準備

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まず袋の2/3〜1/4くらいまで川の水を入れます。袋の口をにぎって、袋の中の水と空気をよくかき混ぜます。こうすることで、水の中に酸素が取り込まれ生きものを元気にしておくことができるのです。
つかまえた生きものをビニール袋に入れるときは、魚がヤケドしないように手をぬらしてから触るようにしましょう。

 
●タモ網の使い方

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開いた網を岸ぎわにあてて、上流がわの草むらを足で「ガサガサ」します。そうすると、おどろいた生きものがタモ網に飛び込んでくるという仕組みです。

 
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みんなでタモ網を並べて、協力してつかまえてみましょう。1人が「ガサガサ」して生きものを網に追い込むようにします。

 
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生きものを傷つけてしまわないよう、袋の中には石などは入れず、つかまえた生きものだけを入れます。

 

生きものを観察する(4分51秒)

 
●生きものを観察する

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投網があると、瀬を泳いでいる魚もつかまえて観察することができます。

 
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薄型の観察ケースを使うと、生きものが動き回らずじっくり観察できます。似たような生きものがいたら、ちがいをよく観察してみましょう。

 
●生きものを解説する

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川の浅瀬にテーブルを設置して解説をしています。魚などが飛び出しても傷つくことがなく安心です。

 
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体のカタチの特徴やすんでいる環境、エサなどのほか、名前の由来や別名なども紹介しましょう。似たような生きものの見分け方も解説し、子どもたちに特徴のちがいを探してもらうようにします。

 
●環境について考える

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観察する地域を代表する生きものを紹介して、川のまわりの環境を守ることなどについても話しましょう。ここではアユを紹介しています。

 

第5部 後片付け(1分40秒)

 
●つかまえた生きものは川にもどしてあげましょう

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●道具の後片付け

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使ったタモ網は川の中でゴミを洗い流します。その後、においがつかないように水道水で洗ってから乾かします。ライフジャケットも洗って、カビが生えないようしっかりと乾燥させましょう。

 

便利な図鑑

・『くらべてわかる 淡水魚』 (山と渓谷社)

体のカタチやヒレの特徴など、種類の見分けに役立つポイントをていねいに解説。淡水魚約120種の見分け方が紹介されています。

 
・『山溪ハンディ図鑑 日本の淡水魚』(山と渓谷社)

持ち歩き用にはこちらが便利。日本の淡水魚306種・亜種を掲載。純淡水魚はほぼ網羅しています。外来魚についても詳しく解説しています。

 
・『山渓カラー名鑑 日本の淡水魚』 (山と渓谷社)

大型本で持ち歩きには不便ですが、写真が豊富で魚類の生態・形態がよくわかります。

 
・『新訂 水生生物ハンドブック』(文一総合出版)

身近な河川で観察できる約75種の水生生物を紹介しています。識別ポイントがひと目でわかります。

 

河川でのフィールドワークの前に

 
●漁業権に対する注意

日本の河川のほとんどは、漁業権が設定されています。「漁業権」とは漁業をする(魚を捕る)ことができる免許を都道府県知事から与えられる権利で、各河川の漁業協同組合関係者だけが持っています。
そのため、水辺の観察で投網や罠などの漁網・漁具を使って魚を捕獲する場合には、まずそれぞれの川の漁業協同組合に観察会(フィールドワーク)の内容について相談し、必要な場合には1日遊漁券などを購入してから実施しましょう。

 
漁業権に関する水産庁のウェブサイト
http://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/gyogyouken_jouhou3.html

 
●河川の一時使用届

河川を管理している国や自治体は、自然観察会(フィールドワーク)、撮影などについて、「河川の一時使用届」(名称は様々です)の提出を求めている場合があります。実施する前に河川管理者に届け出の必要性の有無、方法などについて相談しておきましょう。多摩川の場合には「河川の一時使用届」を京浜河川事務所田園調布出張所に提出しています。

 
●イベント保険の適用

水辺での活動には思わぬ危険がつきものです。万が一に備えて、イベント保険・ボランティア行事保険などに加入しておきましょう。いろいろな適用方法があるので、損害保険会社もしくは地元の社会福祉協議会などに相談しましょう。

全動画を見る

コンテンツ名 身近な自然観察 水辺の生きもの
収録日 2016年10月16日
講師 NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク
簡易プロフィール

企画・構成:NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク

肩書などはコンテンツ収録時のものです

企画・構成:NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク
協力:世田谷区立二子玉川小学校
主催:一般財団法人森永エンゼル財団

刊行書籍

研究成果は『エンゼル叢書』シリーズ(PHP研究所)や
機関誌として刊行しています

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